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STAP細胞よりも大切なこと

 つい先日、友人と話していてこのようなことを聞いた。「うちの大学、博士課程の論文を見直すんだって」と。彼はSTAP細胞の論文を書いた、渦中の小保方晴子氏と同じ学部の修士を卒業している。今まで提出された論文も誰かが書いた文を無断で引用したり、いかにも自分が書いたように装ってはいないか、を見直すと言う。

 私が学生の頃、すでにこのような話はあった。4月の講義で教授が「私はネットに関してプロフェッショナルだから。少しでも怪しいと思った箇所はあらゆる手段でネット検索にかけまくってコピーしていないか探す。もしも見つけたら確実に単位はやらないから、そのつもりで」と嬉しそうに喋っていた。ただしこれは10年程前の話。今ほどインターネットも発達していないし、使われてもいない。少なくとも電車の中であらゆる世代が携帯電話をさわっているようなことはなかった時代だ。

 その教授が本当に無断引用にすぐに気づいたり、そうしている学生を無条件で落としていたかどうかは知らない。なるようになれ、と目を盗んで無断引用する者、本当は面倒くさかったけれど渋々自分で論文を書いた者もいただろう。私は残念なことに(?)この教授の講義をちっともおもしろいとは思わなかったし、決して好きな教授ではなかった。単純に文学の趣味があわなかったし、何でも決めつけて語る口調もゲンナリさせられた。ただしこのような脅しはなんらかの効果はあったかもしれない。

 私個人的には学生だった当時も、今も結構本気で「勉強する気ないやつは大学に行く意味がない。さっさと辞めてしまえ」などと思っていたクチなのだが、きっとそれを真に受けると、日本中の大学がつぶれることになる。だからどの大学も学業の実績やら有名な人間を教授として雇ったりしながら、いかにも学生に勉強させているフリをしている。そして勉強をしたフリをした学生達は社会人になっていき、やがてまた学生を選ぶ立場になる。きっと勉強をしたフリをした学生達はやがて子供を持ち、彼らに勉強するよう説くのだろう。自分は勉強するフリしかしてないのに。下手したら何かしらのズルをして卒業した人間が教師になるかもしれない。自分の生徒がズルをしていたら、そのような教師は何を語れるのだろうか。

 そもそも私が学生だった頃、学生達は好きなこと、興味のあることで科目を選ぶこと自体少なかったかもしれない。楽に単位を取れる講義ばかりが先に埋まっていき、苦労する講義(ハマリ講義、と呼ばれていた)は残る。仮に苦労するルートをとってしまっても先輩や友人に頼れたらラッキー。学生達は既に何を学ぶかには興味無く、いかに楽に卒業するかしか考えていなかった。ひどいのでは講義に出なくて学期の終わりのテストで4年生が「就職決まったんです。どうか卒業させて下さい」とだけ書いたという話も聞いたことがある。これは「私の人生を狂わさないでください」という強要なのだろうか。みんなやっていることだから、みたいな意見もあるが、私はそうは思わない。ただしいつか彼らの子供が大学で懸命に勉強している姿を見て「何してるんだよ!楽してズルしなきゃだめじゃないか!苦労して卒業するくらいだったら大学やめちまえ!」ぐらい本気で叱るような保護者に徹するならば、私から特に言う事はない。

 最後に小保方氏について。多くの人がそうであろうが、科学の論文というものを書いたことも読んだこともない。写真の切り貼り等がどれほどの罪なのか、想像できない。もしも無断引用をしたと言うならば「自分の仕事に誇りがないのかな」くらいに思っていた。ただ今でもそうだが、理研の胡散臭さはどうしても気味が悪く、彼女の会見までは「理研の悪いところを全部ぶちまけてやれ」などと思っていた。一応質問には答えていたし、どちらかと言えば彼女を応援していたのだが、マスコミによる彼女と理研を対立させるかのような質問に対して「私も理研の人間なので…」と答えを濁した時にはガッカリした。彼女は自分のやってきたことの正当性よりも理研を守ることを選んでいる。自分の研究を取り消そうとしている理研に対して異議申し立てをしながら、理研に籍を置いて、今後も置き続けたい意思を示している。研究していきたい、と言う彼女が本当にしたいことは何なのだろうか。私はなぜか「就職決まったから卒業させてくれ」という学生の話を思い出した。

by yokohama0616 | 2014-04-28 23:54 | 時事